書くことないです。

ayamadoriが独り言を呟く日記。

『潮風の消える海に』感想

鶴見線乗りに行きてぇ。<終わった直後の感想
相変わらず早狩節は健在でした。確かに地味で短いかもしれないけど、青臭い青春話が好きな人はぜひどうぞ。
(07/01/30加筆修正)
ダウンロード販売もある低価格作品なので、短いし、選択肢が無い、純粋なヴィジュアルノベルです。もちろん18禁。
総プレイ時間は音声をしっかり聞いて7時間くらい。普通のギャルゲーの1周分くらいか。
以下、ネタばれあり感想。(シナリオ面は書けなかったからまた明日。)

一応レビューっぽく書いてみる。

  • システム

いつものMarie。基本的に不満は無い。ただこの長さだとセーブ機能いらないな(笑)
逆にサウンド再生機能が無い。まあこれも個人的にはいらないけど(理由は後述)
不満なのは、水面が揺れる背景で動きがぎこちなくなる瞬間があったこと。うちのオンボードVGA(Intel865G)+VRAM割り当て32MBなんていうしょぼい環境のせいもあるかもしれないが。しかし、そんなに負荷のかかる描写だとは思えないから、これくらいは何とかしてほしかった。
あと、容量が800MB弱と、DVDで売るには微妙。もう少し圧縮できなかったですかね?ついでにASは無いの?

  • サウンド

BGMは早狩シナリオではおなじみの樋口秀樹。といいつつ僕夏の使いまわしも多かったような。おかげでやってる途中ニヤニヤすること多数(笑)
使いまわしとはいえ、物語の雰囲気も似ているせいか、違和感は感じなかった。でも逆に言えば新しく印象に残るものは無いかも。
あと、相変わらず主題歌を歌うWHITE-LIPS(・∀・)イイ!!ゲーム終わってからずっと聴いてます。決して歌がうまいわけじゃないんだど、なんか響くんだよなあ。
『セイリング』って曲で、lightの公式サイトhttp://www.light.gr.jp/から歌詞とともにダウンロードできるので、1回聴いてみて。
ダウンロード販売前提の低価格作品で、宣伝に金をかけられない=プロモを作れないからこそ、曲だけでも無料公開してるんだろうな。
これらのおかげでサウンド再生機能の必要性を特に感じなかったです。もっとも、もともとあまり利用しない人ですが。
声も良かったです。みなさん(この世界では)上手だと思います。ってかシナリオに夢中であんまり聞いてなかったり(苦笑)主人公に声があるのは早狩シナリオならではかな。安玖深音がこの手の役でも出来るのに若干驚き。一部発音に不満がありますが、それは後述。「〜なくない?」とかの部分。表現しづらいが、いまどきの高校生でもこういう発音するんだろうか。たぶん早狩さんの指示なんだろうけど、おじさんおばさんが無理して若者言葉を使うような違和感を感じてしまった。早狩さんもこんなとこ無理しなくていいって(笑)

  • グラフィック

ここはもともとあまり気にしてないです。別に嫌いな絵柄じゃないし、低価格作品としてはCGの量も十分だと思う。しいて言えば、人間の影の部分の黒が濃すぎな気がする。
足掛け2年以上にわたる長い物語で、時間の経過とともに立ち絵がきちんと変わっていくのも好印象。背景も上で述べた水面の欠点を除けば特に不満無し。
あと、特筆すべきはオープニングムービー。『セイリング』のピアノヴァージョンときれいに調和して、とくにクオリティが高いというわけじゃないけど、静かで、美しい。

  • シナリオ

相変わらず舞台設定凝りすぎ。公式サイトにはオチまでついてるし。しかし、鶴見工業とか現実にある『高校』名を出し、キャラに酒を飲ませ、開始当初から2年たってもまだ未成年という設定は問題ないんだろうか(苦笑)
全体としては、最初にも書いたけど、とにかく青臭い青春群像劇。親に反発して海辺に佇んでる導入部分で青春を感じ、そのあと『沈んでいるヨットを引き上げ、自分たちの手で再生して、何処か知らない場所に行こう。』にこっ恥ずかしくて悶絶し、美潮のツンデレっぷりに悶絶し、主人公と美潮のすれ違いっぷりに悶絶し、ようやく分かり合えてほっとする。何だか僕夏の貴理ルートと流れが同じだ。終始悶絶しっぱなしだった。
短いから早狩氏得意の他人称視点は無いんだけど、それでも群像劇だと思えるのは、主人公にも声があることと、ギャルゲーにしては珍しく主人公を含めて心理描写の肝心な部分を書かなかったりするせい。結局読み手はどのキャラに対しても等間隔(とはいかないかもしれないけど)になって、みんなが動く世界を上から眺めているような感覚にさせられる。もっとも、どのキャラも眩しすぎて感情移入しにくい_| ̄|○ってのもまた事実。
そういえば、トークイベントで『ツンとデレは9:1』って言ってたんだっけ?かなり納得(笑)少なくとも昨今のツンデレとは大きく趣が異なるのは事実だし、ツンツンしてるといってもその裏にあるものがしっかり見える。だからこそぜんぜん嫌味に感じない。
そして、美潮の心理が見えるのと同様、主人公の心理もよく見えるのだが、これがまた面白いように食い違う(笑)決して主人公がヘタレなわけではなく(と思う)、どちらの悩み、気持ちも分かりすぎるほど分かるだけに、それが食い違う様が切なくてしょうがない。たぶん現実世界の僕じゃこんな風には分からず、このキャラたちのように悩むんだろうなと思うと軽く凹む。
結局、分かり合うきっかけに双方の親が絡むのは、想像を裏切られるだろうという想像の範囲内。群青といい、親越えが好きなのか。まあ大人に敵わない子供って構図がはっきりと現れててよかったけど。その親(家庭)の問題の解決部分(を含むエピローグ)は長さの関係かかなりご都合主義で、でもすんなりまとまってた。ベタなんだけど、それまでひたすら悶絶していただけに、とってもすっきり。しかし、ヨットでどこかへ行くと言っていくら何でもロシアに密航は無いだろ(笑)あそこまで入念に準備してたんならそこらへんはしっかりしとこうよ。いずれにせよ、読後感は非常にさわやか。こんな感覚久しぶり。
大事なことを忘れてた。相変わらすHシーン最高。2回目後半は正直蛇足だと思うが、それ以外は非常にいい。失敗しまくり(笑)群青やったときあまりの痛々しさにびっくりしたからなあ。基本的に鬱になることの無い雰囲気の良いゲームなんだけど、このときばかりはさすがに軽く鬱になった。


このゲームに前後して、早狩氏の公式サイトhttp://www.tt.rim.or.jp/~hayakari/で公開されてる同人小説を読んでるんだけど、みな短編で、今回の潮風も短編だったせいか、同じような空気を感じた。まさに早狩節。トークイベントで『自分の才能削って書いた』って言ってたらしいけど、まさにその通りだと思う。設定とかはかなりベタだから、この空気を受け入れられるかどうかが面白いと思うかどうかの鍵かなあ。